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趣味のサイト「すみれの部屋@(花の写真館)」のすみれ通信「徒然草=つぶやきの棚」をブログで…---☆
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トウカイスミレ

 山の様子を見てルートを変更したため、予定外でしたが、富士山を半周してトウカイスミレの自生地にやって来ました。とても小さなすみれです。山歩きの最中に見つけられるのか、心配になってしまいますが、四国の山ではなんとか目に留まりました。
 トウカイスミレは裸名のまま。別の名前で呼びたい意見もあるようです。長くヒメミヤマスミレ(東海型)と呼ばれ、更に以前にはフモトスミレなどとの混同もあったとか。スミレ属は花柱の頭部形状とか、側弁の毛の有無とか、細かいポイントを観察する傾向が強いのに、その違いを超えて混同していたことになります。見た目もこれだけ違うのに何か納得のいかない不思議な現象ではありませんか。裸名でも学名はあるのですが、命名者にSugim.という略名が出てきます。「東海の自然」などを著した杉本順一氏でしょうね。すると、名前としては相当年季が入っていることになります。


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ニョイスミレ

 少し春の訪れが遅れたとは言え、4月後半に西日本に出掛けましたので、すみれの季節が終わっていないかと気をもんだものでした。なんとか、花の残りを追いかける感じではなくて済みましたが、ニョイスミレのような遅咲きのすみれたちも満開を迎えていたのです。
 ニョイスミレの咲き方は千差万別。湿地に薄く広がっているもの、大きめの株がポツンポツンと見られるもの、それから、こんもりと盛り上がって棒倒しに群がる男たち状態のもの。ここでは盛り上がった塊が幾つも見られました。なにか環境が良いのでしょうか。初夏に群馬県の高山帯でこんもり状態のニョイスミレ群を観察した記憶がありますが、今回の方がより多くの茎が密集しています。種子の発芽率が良く、尚且つ、生存率も良かったというような事情かもしれませんね。


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ニオイタチツボスミレ(葉黒型?)

 さて、今回、最も悩ましかったすみれの登場です。これは何でしょうね?花や全体の印象からすれば、ニオイタチツボスミレの葉黒型かなぁ・・・というところですが、実は、葉脈が赤くて、九州で見かけたマダラナガバノタチツボスミレを彷彿とさせる様子でした。さすがに困って、自生地である愛知県の研究家に問い合わせをしてみました。
 ナガバノタチツボスミレは茎生葉の上の方がもう少し尖る、花の形状や色合い、特に距が白い。ナガバノタチツボスミレは愛知県でも自生地が限定的であることから、ニオイタチツボスミレと見るとのこと。ふむふむ、そんなところでしょうか。実は、アップにすると花茎に微毛がびっしり生えています。もう一つ、この個体から1m程度しか離れていない位置に、一般的なニオイタチツボスミレがはるかに小さい姿で花を咲かせていました。これも戸惑いを誘う罠だったのかも知れません。


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ニオイタチツボスミレ

 この旅の途中、各地で出逢ったすみれの代表格といえば、ニオイタチツボスミレで間違いないでしょう。その幾つかを選んで紹介したいとおもいます。先ず、1枚目の明るい色合いの花は最終日に出逢った個人的なお馴染みさんです。自生地にに顔を出せば、いつも笑って迎えてくれます。モニターで繊細な色合いが出ているのか疑問もありますが、この感じが好きですね。
 その他、白っぽい花色から、ぐっと濃い色合いの個体まで千差万別な花を見掛けました。また、中央部が白く抜けていても、葉を見るとタチツボスミレと思われた個体群も多く、皆さんを惑わせているのではないかと思います。そんな時は、もし状況が許すならば、この可愛らしい花たちが放つ芳香をチェックしてみない手はありません。花の時期にも拠るでしょうが、概ね、芳香があります。よく似ていても、タチツボスミレにはありません。交雑種のマルバタチツボスミレは・・・。あ、以前見かけた際に確認するのを忘れていました。


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ツヤスミレ

 6日間の旅の一日は雨でした。運が良い方なのだろうと思います。この雨の日も観光に切り替えず、なんとか目的のツヤスミレを探しました。アップダウンの狭い道をノロノロ走って、行ったり来たり、そして坂道の途中でタチツボスミレがきれいな花をつけているのを見掛けました。
 茎生葉の中でも、茎の真ん中あたりから出ている葉は独特の横長です。タチツボスミレの葉は縦長かハート型が多いので、おもしろいなぁと思って見ていました。ところで、雨にぬれているため、今ひとつ、光沢の具合が判然としなかったのですが、1枚持ち帰った葉で確認してツヤスミレらしいと思っています。この海岸性の「品種」ですが、個体数が最多のタチツボスミレ集団の内、塩風に適応してクチクラ層を厚くした変異のどこから区別するのか、微妙なところがあります。一方、三浦半島や伊豆諸島で見られる大柄な「変種」と比べると見かけ上の違いはありますが、個体差の範疇にしか感じられません。


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ヘイリンジスミレ

 一見、草丈の高いヒメスミレのようですが、それにしては葉が縦に素直に伸びています。2枚目の写真を見ていただけますとスミレと同席していることからもお分かりの通り、ヘイリンジスミレであろうと思います。
 スミレはもちろんのこと、ヒメスミレにも変異の幅がありますから、ヘイリンジスミレの典型的な型っていうものはないのかも知れません。この個体にしても、周囲に草丈の低い型のヒメスミレが見られなかったら、ちょっと背が高いという程度で見過ごした可能性がありますね。葉の様子はスミレの形状ですが、花の色合いや縦長の顔つき、なによりも距が白くてぷっくりと膨れているので、あれれ?と思った訳です。実は、もう一つのポイントとして、花の表情が、現地で他のヒメスミレたちと直接比べることで初めて分かる微妙な違いがあったのです。


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ケイリュウタチツボスミレ

 経験的にケイリュウタチツボスミレかなぁと思っています。ただ、あくまで旅先のことで、外観の形状と生育環境を観察した結果に過ぎず、例えば発芽テストをしてみた訳ではありません(笑)。
 自生地は硬めの砂岩(水成堆積岩)が水流でなめらかに削られた大岩がある渓谷です。葉の小さいタチツボスミレですが、コタチツボスミレとはみなしてもらえないようです。葉の基部が余り深く切れ込まず、葉によっては切型をしていますが、長野県で見られるような菱形には至らない姿でした。増水した際の激流に対して、少しでも葉の抵抗を減らそうとして形状が変わったことは明らかですから、境界線の引き方にも依りますが、渓流植物特有の姿をしていると見て良さそうに感じました。実は、こうした形状も重要ですが、種子が飛んで増水が起こる前に大量に発芽すること、そして根が早く定着することもポイントなのです。


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シハイスミレ

 葉だけを見ると『小さくて丸い葉には薄く白斑が見え、裏返すと濃い紅紫色でした』と観察説明をしたフモトスミレに似ていますが、こちらはシハイスミレです。もう少し葉が長ければ、それらしく見えるのでしょうが、この周辺はこんな葉ばかりでした。シハイスミレとフイリシハイスミレ、コンピラスミレ(それからタチツボスミレ)が混在していますね。名前を分ける必要がなさそうだと真剣に思う瞬間です。
 花も小さめで淡紅紫色ですから、初めて訪れた旅先では、花びらの一部が淡紅紫色をしたフモトスミレの一型かも知れないと迷うことになりかねません。それでも、距が長い円筒形で、側弁基部が無毛ですから、いくらなんでもフモトスミレの線は消えますよね。補足ですが、同日、もう少し分かりやすいシハイスミレとマキノスミレを少しだけ観察しました。


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フモトスミレ

 GPSで標高を確認して驚いたのですが、愛知県東部では標高が低いのに渓流があちこちで見られます(笑)。雰囲気も深い森林風ですが、当然ながら気温が 沿岸部と大きく変わらないので、多くのすみれたちは花を終えようとしていました。それでも渓流沿いで杉木立の山道では少し涼しい風が通り抜けます。おかげで、まだフ モトスミレなどが咲いていました。
 ありがたいことに、とても分かりやすい型のフモトスミレです。フモトスミレはまだ発展途上にあるのか、ご承知の通り、多種多様な型が存在しています。ヒ メミヤマスミレとの混同はむしろ当然のこと。無茎種なのに有茎種であるニョイスミレとそっくりな型もあって、ついつい慎重になって細かいところまで観察します。側弁 にはしっかり白い毛が生え、距は赤くて丸みがあります。卵型の小さい葉には薄く白斑が見え、裏返すと濃い紅紫色でした。


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シロバナタチツボスミレ(赤斑型)

 旅をすると、やはり、最も自生する環境が広くて個体数が多いタチツボスミレがおもしろかったりします。この日も多彩な変化に遭遇しましたが、あららーと思ったのが、このシロバナタチツボスミレ(赤斑型)でしょう。茶畑を登る細い坂道でまとまって見られました。花は紫条も入らない白変種ですが、葉脈に添って赤い斑が見られます。
 ちょっと不思議な感覚に見舞われました。白変種の場合、葉や茎は明るい緑色であることが多いと記憶していますが、これを見ると、花と葉の色に関わる制御は別々に行われているということになりそうですね。植物の花、萼などは元々ベースとなる葉から進化したと言われています。ですから、同じ系列の遺伝子や酵素、ホルモンが関与しているのだろうと思っていたのですが、そう単純でもないということでしょうか。


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